お客様からよくいただくご質問に、「このグラスは何を飲むグラスですか?」といった内容のものがあります。
大きさ、形、色、重さ…確かにグラスは多種多様。選ぶ際に迷ってしまう事もあるかもしれません。
特にギフトをチョイスする時や、自宅でお酒を飲む時に「どれにしようかな?」なんて経験ありませんか?
結論から言うと、正解はありません! 笑
だってワイングラスでお水を飲んだっていいし、ロックグラスでワインを飲む方もらっしゃいます。
ただし!それぞれの飲み物に適した選び方をするだけでぐっと美味しさが増し、より食事が楽しくなるんです。
アルミ缶やペットボトルで直飲みしている方、ちょっとひと手間かけてグラスに移し替えて召し上がってみてください!
飲み物本来の風味や味を引き出してくるのがグラスなのです。
紙コップやプラスチックのコップにはない、天然由来のガラス素材ならではのグラスを使うと、心地よい飲み口となり、本当に美味しく感じられるようになります。
じゃあ、どんなグラスを使えばいいの?
どうせなら美味しく飲みたいこだわり派さん、どんなグラスを使えばいいか知りたい派さん必見!飲み物別、美味しく飲めるグラスの種類をたっぷりとご紹介します。
本物だから感じる事のできる味わいを毎日の生活のワンシーンに取り入れることで、幸せ気分上昇!
おうち時間をもっと楽しんでみてはいかがでしょうか?
そもそもグラスとは? 地球にやさしいエコロジー素材
グラスに使われるガラスは地球に存在する自然素材から作られています。
割れてしまっても「カレット」と呼ばれる粉々のガラスにして再度溶かします。再生が可能です、環境に優しい素材の代表選手。
ガラスの原料は主に珪砂、ソーダ灰、石灰の3種類です。
1. 珪砂(ケイシャ)
石を細かく砕いた砂で、石英やシリカと呼ばれる事もあります。
珪砂の不純物を取り除くとガラスの特徴的な透明な物質となり、ガラスの原料の中で占める割合が最も高く、素材に直結するものです。
2. ソーダ灰
無水単価ナトリウムともいい、主に草木を燃やして灰にしたものから不純物を取り除いたものをガラスには使用しています。
3. 石灰
炭酸カルシウムの事で、鉱石を原料としています。
ガラスになると、酸化カルシウムに変化します。
以上の3点が基本的にはガラスの組成に必要なもので、これらから幅広い種類のガラスを作ることができます。
例えば、耐熱ガラスや強化ガラス、クリスタルガラスも大きな差異はなく、原料の違いや製造工程、加工の工夫などでそれぞれの性能を高めています。
主要な3つの材料は石や砂など身近なものからできているため、加工するコストはかかりますが、原料は比較的安価なものであるといえます。
ガラスの歴史と文化
ガラスは今から約5,000年前、メソポタミアで作られたといわれています。
日本では、弥生時代に伝わってきたとされており、実際に日本で製造されたのは飛鳥・奈良時代です。
昔はソーダ灰ではなく、天然由来の成分を使用していた時期もあり、ガラスは高級品として珍重されてきました。
その後、江戸時代には多くの庶民に使われる素材となりました。
ソーダ灰で代用可能になってからは、ガラス製造は全世界に普及し、庶民にも親しみやすいものとなったのです。
明治以降になるとガラスの近代化が進みます。機械化や技術の進歩によって特に東京の下町などには多くのガラス工場ができ、今につながる職人技も磨かれました。
グラスの種類
そんな長い歴史を経て現在へとつながるガラスで作られたグラス。
現在では、種類やデザインも多種多様となりました。
今回は主にお水やジュースなど日常で使用するテーブルグラス、お酒用に作られているグラスの大きく2つに分けてご紹介します。
タンブラー【お水・ジュース・お茶・ビール】
一般的に「コップ」と呼ばれる形です。
もともとは、動物の角でつくっていたともいわれています。タンブラーという言葉には「転ぶ」という意味があるそうで、のちに底を平たくした今の形となりました。
サイズのバリエーションも豊富です。
主にお水やジュース、ビールなどあらゆる飲み物に使用されるオールラウンドプレイヤー。
お手入れも簡単で、デイリーユーズには欠かせないグラスといえます。
▲400ml以上たっぷり入る、ゴクゴク飲めるサイズ感
がぶ飲み部活/野球 ¥1,100+税
▲薄口で、ゆらぎのあるモール入りの吹きタンブラー
小樽硝子/タンブラー ¥2,500+税
ゾンビグラス【炭酸水・ソーダ・炭酸カクテル】
コリンズやトールグラスとも呼ばれる、円柱型のグラス。
タンブラーよりも細長い円柱方なのが特徴で、トム・コリンズというカクテルを入れるグラスとしても有名です。
タンブラーに比べて、口元が狭いため炭酸の気が抜けにくいので、炭酸水、ソーダを飲む際に適しています。
デザイナーの豆知識
ゾンビグラスの「ゾンビ」とは、ホラー映画でおなじみの、土からよみがえってくるあのゾンビのことです!
コリンズと同じく、カクテル名から由来しています。
ラム酒ベースのカクテル「ゾンビ」は、パイナップル風味で飲みやすいわりに、とても強いため「死者も蘇ってしまうほど強いお酒」と言われている説も…。(引用:ゾンビグラスは何で、「ゾンビ」と言うのか?)
▲メガネスタンドとしても使える、熱いまなざしのグラス
アイラブめがね/ひとえまつげセット ¥1,000+税/set
ゴブレット【お水・ジュース・お茶・ビール】
タンブラーグラスに脚(ステム)が付いた形が特徴のグラス。
容量は200~400mlと大き目のものが多く、お水やジュース、ビールなどゴクゴク飲める飲み物に適しています。
▲ミニワインとゴブレットの両方いける形状。チェイサーとしても◎
ネオララーム/ミニワイン ¥1,000+税
▲優勝カップのような形状のキング(お問い合わせください)
キング/ゴールド/名入れ 5,000+税
オールド【ウイスキー・梅酒・焼酎】
ロックグラス、オンザロックとも呼ばれるグラス。
120ml~180ml位の小ぶりのグラスです。
大き目の氷とお酒を注ぎ、お水やソーダで割らないタイプのグラスで、ウイスキーの他に最近では梅酒や焼酎などでも使えるグラスです。
▲ふだんの食事に使い勝手の良いグラス。
お水や麦茶など食事、ウイスキーや焼酎などお酒にもちょうどいい。
マリッサ/オールド ¥530+税
▲クリアのエンボスプリントは立体的でプクプクした線がおもしろい。
イラストは物理の分野で活躍した偉人の肖像になっており、ユニークに微笑みかけます。
世界3大シリーズ/ロック/ニュートン ¥680+税
ワイン【ワイン・お水・ソフトドリンクもOK】
一言にワイングラスといっても実は様々な種類があり、ワインの種類によってグラスを使い分けて嗜まれています。
どのワインもグラスに注ぎ空気に触れることで酸化し、香りの変化を楽しむ事ができます。
主に赤ワイン用、白ワイン用があります。品種や産地によっても使い分けられますが、冷やして飲む白ワインは小さめが、香りを楽しむ赤ワインは大きめが使われる事が多いです。
また、形だけでなく、足(ステム)の長さも様々です。
ワイングラスにこだわりたいなら、その素材にも注目。
一般的なソーダガラスより、クリスタリンという素材を選ぶと、乾杯したときに透き通った音がより長く続きます。
▲模様が目盛りの役割を果たしてくれるワイングラス
シェネ/ワイングラス ¥1,350+税
▲ホットサングリアなどの温かい飲み物を入れられる耐熱ガラス製
耐熱/ワイン ¥1,600+税
シャンパン【シャンパン・炭酸系カクテル】
主にシャンパンなどのスパークリングワインを飲む際に使われるグラスです。
シャンパングラスにはフルート型とソーサー型があり、フルート型は縦長で口がすぼめて作られています。
フルート型は空気に触れる部分を減らすことで、炭酸の持ちをよくするために細長い形状になっています。
飲み物を入れ、飲み物の下から上に気泡が上がっていく様子も楽しめます。
シャンパン以外にも炭酸系のカクテルやソフトドリンクなどにも適しています。
ソーサー型は口が広く、横幅が広めにつくられたグラスです。
フランス語でcoupe(クープ、クーペ)などと呼ばれ、フランス貴族がマカロンなどのお菓子を浸して食べるために広い口になったという説もあります。
デザイナーの豆知識
ちなみにシャンパンとは、フランスのシャンパーニュ地方で作られたスパークリングワインのことです。
「シャンパングラス」と聞くとわたしたちガラス屋は、使用するシーンが限定的に感じる上に、フルート型とソーサー型のどちらも頭に思い描きます。
ですので、一般的にイメージされる背の高いグラスを「シャンパングラス」とは呼ばずに「フルートグラス」と呼ぶことが多いです。
▲ラインストーンとプラチナの口元、くるくると舞うリボンがキュート
リボンワンズ/フルート ¥1,300+税
▲ラインストーンが24個手作業で貼られたゴージャスなグラス
スパイラル/シャンパンペアセット ¥7,000+税
ピルスナー ビアグラス
その名の通りビールの飲む際による使われるグラス。
ビール自体も様々な種類があるため、製造方法によってグラスを使い分ける場合もあります。
クラフト系の香り高いビールには口のすぼまったものがよりコクを感じる事ができ、背の高いくびれのあるグラスはのど越しや爽快感を引き立てます。
生ビールなどは流入量が多いジョッキなどの大きめのものが使われる事が多いです。
また、グラスの内側フロスト加工がされたグラスは、よりきめの細かい泡が立ちやすくクリーミーな泡が楽しめます。
▲飲みながらゲームができる、遊べるグラス
ゴラス/ジェントル ¥1,600+税
▲金含有インクで大胆に絵付けしたビアグラス
フデアト/ビア ¥1,200+税
その他にも、
カクテルグラス…ステムがついたカクテル専用グラス
リキュール…リキュールをストレートで楽しむグラス
ブランデー…ブランデーを大きめのグラスで少量を入れてストレートで飲むグラス
ショット…「一杯」を意味し、ウイスキーをストレートで飲むグラス
などなど様々なグラスがあり、使い分けられています。
グラスの選び方
グラスの種類を学んだところで、それぞれの用途が見えてきました。
しかし、食習慣や家族構成、日常的な飲み物は人それぞれ違います。
そこで、ご家庭で使うグラスの選び方を、5つのポイントで深堀りしてみましょう!
ポイント1 大きさ
グラスを選ぶ際には、用途にあった大きさを選びましょう。
多くの量を飲むためなのか、それとも少ない量で十分なのか、そのグラスに入る量を考えながら選ぶことがポイントです。
また、お酒に使用するグラスを選ぶ場合は、アルコール度数の高いものはショットグラスやリキュールグラスのような小さめのグラスを選び、度数の低いものはシャンパングラスやコリンズグラスなど、比較的多めの量が入るものを選ぶとよいでしょう。
ポイント2 形
グラスを選ぶ際には、形も重要なポイントになります。なぜなら、グラスの形によって飲み物の香りや味が変わるためです。
例えば、炭酸の飲み物であればフルート型のような飲み口が小さく、縦に細いグラスが適しています。縦に長いタイプのグラスは、炭酸の気が抜けることを防ぐ効果があり、泡が浮き上がってくる様子を美しく見せてくれます。
また、底が広く、飲み口が窄んでいる形のグラスは入口に香りがたまりやすいため、ワインやブランデーなどの香りを楽しむ飲み物に適しています。
このように何を飲むかによってグラスを換えると、より一層飲み物を楽しめます。
ポイント3 色
グラスを選ぶ際には、色にも注目してみましょう。近年では、さまざまな色のついたグラスも登場してきています。
ただし、カクテルやワインなど飲み物自体の色を楽しむ場合は、無色透明のグラスが適しています。
ポイント4 製法・細工
日本の伝統工芸である切子も、とてもおしゃれなグラスです。
ガラスをカットして模様を出す手法で作られており、江戸切子や小樽切子、薩摩切子などがよく知られています。
籠目や麻の葉、菊、格子といったさまざまなカット模様に、赤や青など鮮やかな色が付いている製品もあります。
中には、熟練の職人でなければできないカットもあり、日本の伝統の奥深さを感じさせてくれるグラスです。
ポイント5 シーン
グラスは結婚式などのフォーマルなシーンや、ホームパーティなどのカジュアルなシーンなどさまざまなシーンで活躍します。
グラスを選ぶ際には、こうしたシーンの雰囲気に適しているかもよく考えてみましょう。
シーンに合わせたグラスを選ぶことで、その場の良い雰囲気を引き立たせることができます。
テーブルコーディネートを楽しみたい方へ
いくつかのグラスが一度に必要な人や、統一感を出したい方はセットのグラスをおすすめします。
グラスセットは2個、もしくは6個が1セットになっている製品が多く、同じ製品がいくつか入っているため、食器棚に入れたときにも美しく見えます。
特に2個セットの場合はペアグラスと呼ばれており、デザインは同じで色のみ異なるグラスがセットになっている製品も見られ、ギフトの定番ともいえます。
また、グラスと同じデザインのプレートやボウルなどでトータルコーディネートするのもテーブルを華やかにする方法の一つです。
▲グラスやプレートなどトータルコーディネートできるネオララームシリーズネオララーム/プレート ¥1,000+税
▲江戸硝子も色を揃えると統一感が出ます
うきよ/花ボウル ¥1,600+税
▲グラスを新調するならセットがおすすめ
耐熱ガラス7個セット/カタンタンブラー ¥3,520(込)
まとめ:なぜグラスを変えただけで味が変わるのか?
それは、グラスの素材と形が、飲み物を流し込む位置に関係しているからです。グラスに注いだその位置によって、空気にふれる面積や、香りが立ち上がる気流がグラス内で発生してよりおいしく感じるといえます。
「まさか!?」と思う方は、ぜひ紙コップとワイングラスで飲み比べてみてください!きっとその違いに気づくはず。
大切なのはグラスの名称にこだわらないこと!
飲み物の特徴とシーンに合わせて選ぶ事をおすすめします。
例えば、
濃い目のお酒 → 小さめのグラス
香りを大切にするお酒 → ワイングラス
炭酸・スパークリング系の飲み物 → たてに細長いグラス
お水やソフトドリンク→ゴクゴク飲みたい場合は大きめのグラス
食事のシーンによって、また、ご自宅にあるグラスを選ぶ際にはこれらを踏まえてチョイスしてみてください。
ここまでいろいろなグラスをご紹介してきましたが、あくまで参考。一番大事なのはやっぱりフィーリング!
自分の手に収めた時にしっくり来るグラス。飲み口が好みのグラス。形や色、デザインに一目ぼれしたグラス。
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富硝子株式会社(トミガラス/Tomi Glass Co.,Ltd.)
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Text:macky
Photo、illustration、豆知識:Okanami