グラスで令和流レトロを楽しむ⁉小樽切子(きりこ)の世界

小樽切子

小樽-運河-富硝子

北海道・札幌市から約40 kmの距離にある、小樽市。
明治の開拓時代に広がった、ガス灯・石油ランプ・ストーブなどの西洋の文化は、今も小樽のレトロな街並みを、情緒豊かに演出しています。中でも石油ランプは、灯りを囲むパーツが、ガラスで作られており、小樽とガラス工芸は、石油ランプとともに発展してきました。

そんな120年の歴史をつなぐ、小樽切子(きりこ)。
吹きガラスにカットを施した、美しいガラス食器です。
淡くレトロな「小樽切子(きりこ)」の魅力を、デザイナーのOkanamiが、小樽の職人のすばらしさとともに解説します!

 

小樽とガラスの歴史

小樽硝子-歴史-ランプ-富硝子
小樽は、美味しい海の幸と、レトロモダンな近代的建物とのギャップが魅力的な街です。
江戸時代から明治初期にかけて、小樽はニシン業が盛んでした。
特に明治30年頃、近代的な漁船がまだ無いにもかかわらず、ソーラン節を歌いながら、人力と乏しい漁具・装備で最高の水揚げのピークを記録をしたといいます。(参考:小樽のおさかな普及推進委員会
明治32年、国際貿易港となった小樽では、さらなる発展を遂げ、実用的な石油ランプ浮き玉製造を中心とするガラス工業が盛んになりました。(参考:小樽市HP

 

小樽切子とは?

小樽硝子-北海道-吹きガラス
北海道小樽の地域でつくられている手作りガラスに、ハンドカットで模様を入れた切子グラスです。
トミクラフトの小樽切子は、東京の下町で70年ガラス屋を営む富硝子が企画 ・ デザインし、小樽の職人によってつくられました。

ガラス生地もカットも、すべて小樽で生産。完全なmade in OTARUの切子です。 

 

小樽切子(きりこ)ができるまで


小樽切子-かわいい-切子
小樽切子のタンブラー ¥5,500
ほんのりピンク色のガラスに、ゆるやかなクラフト感のあるフォルム。そこにピッタリと揃った美しい切子模様。
小樽切子は、たくさんの工程を何時間もかけてできあがります。
小樽切子が完成するまでを、細かくご紹介しましょう。

切子のためのガラス生地をつくる

石油ランプ
カット前のグラスは「吹きガラス」と呼ばれる製法で作られています。
紀元前1世紀からあるポピュラーな手法で、世界中に作家がいます。明治時代の石油ランプや、浮き玉と同じく、小樽切子のガラスも、息を吹き入れて成形しています。

吹きガラスには大きくわけて「宙吹き(ちゅうぶき)」と「型吹き」2つの製法があります。宙吹きとは、型を使わずに空中で仕上げるもので、ガラス体験などでも未経験者でもトライできる自由度の高い吹きガラスです。


一方、小樽切子は「型吹き」が使われています。型に吹き込んで薄く仕上げるため職人の高い技術が必要です。

型吹き

型吹きは、職人金型による半人工的な手法です。


トミクラフトの小樽硝子をつくる工場では、4人1組で成型します。
内訳は下玉とり1名、吹き屋2名、運び1名です。

 

吹きガラス-小樽-職人
▲下玉をとります。棹(さお)にガラスを少量巻き、少しずつ空気を入れ、小さな玉にします。

 

 


▲下玉の上に必要な分のガラスを巻いていきます。


▲金型に入れる前に、リンと呼ばれる丸い型の中でコロコロ→濡れた新聞紙の上で転がし、形を整えます。


▲金型に入れ、棹を回しながら息を吹き込み形をつくります。

▲このとき、水をかけて、型とガラスの間に水蒸気の被膜をつくります。
直接触れないようにするためです。

▲回転台に乗せて底を整えたあと、徐冷炉で数時間冷まします。


▲型からはみ出た部分を、バーナーで火切りし、手で外します。

▲研磨機を使って、口元をまっすぐに磨ります。

▲口焼きします。強力なバーナーで口元をあぶり、なめらかにします。その後徐冷炉で7時間かけ、ゆっくりと冷まします。

切子を入れる準備

グラスができたら、カットするためのガイド線をひいてゆきます。
この作業を「割り出し」と言います。
小樽切子は切子職人自ら、この割り出し作業をします。


▲ろくろを使って、筆を固定し、まっすぐに手を動かすのは至難の業。

 

▲トミクラフトの小樽切子も、このように線を引いています。

いざ!職人による切子


▲割り出しで引いた線を目印に、切子職人がカットしてゆきます。


職人-切子-女性
▲グッと集中力を高め、職人が模様をカットします。

 

▲小樽切子の完成 (小樽切子 タンブラー ¥5,500
カットは1回ではなく、粗削り、三番掛けと同じ部分を何度も刃にかけます。

こうして、いくつもの工程を経て、小樽切子は完成します。

 

トミクラフトならでは! 小樽切子に秘められた、5つのこだわり

切子-デザイン-小樽

スケッチをもとに、職人さんとやりとりを幾度と重ね、今回の小樽切子が生まれました。今回デザインした小樽切子には、5つのこだわりがあります。

1.真っ白な雪の上で、淡く色づく色ガラス
小樽硝子-トミクラフト-色

雪の中で色づく、淡いパステルカラーにこだわりました。
小樽切子には「色ガラス」と呼ばれる、ガラスのたねそのものに色がついた素材で仕上げました。色ガラスは、塗装やラスターとは違い、透明度が高く光をうけたときの輝きが美ししいです。色が剥げてしまう心配もありません。

また、生産される機会が少なく、珍しいことも特徴です。

ラスター-ララーム
ラスター
インクを吹き付けるプリント方法。透明なガラスも色ガラスのように見せられる。カラフルな色が華やか。
(ネオララーム カラフェ ¥1,200)

色ガラス
色ガラス
もともと色がついたガラス。「たね」を調合するときに色をつける。現在はあまり色ガラスを溶かす国内工場は少ない。
(ヴィンテージ小瓶 ¥1,000)

2.色粒をいれて、切子へのアクセント

色粒を入れることで、カット部分に光を取り込んでいっそう切子が輝きます。
ピンクの色ガラスには、赤の色粒を入れ、
ブルーの色ガラスには、コバルトブルーの色粒を入れました。
同系色にすることで、切子とチップが引き立てあって、職人技の美しいカットが映える色合いになっています。

3.プレゼントしたくなる!小樽のかわいいパッケージ

小樽-パッケージ
▲イラストが全面にプリントされた小樽切子(小樽切子 ピンク

パッケージのBOXは、小樽の「ガス灯」や「レンガ」をはじめ、名物の海鮮など、あたたかい手描きの水彩画が全面プリントされています。
天面には金色でTomiCRAFT(トミクラフト)のブランドロゴが押され、クリア、ピンク、ブルーでそれぞれパッケージにバリエーションが。
イラストはすべて、小樽切子のためにデザイナーのOkanamiが描きましたよ! 

小樽-切子-イラスト
▲クリア…小樽の寒さを抽象的に表現しながらも、舞い散る雪の結晶が上品

小樽-イメージ-イラスト-水彩画
▲ピンク…キツネや、えび、かに、うに、いくらなどユニークなモチーフ

小樽-水彩画-青
▲ブルー…レンガやガス灯、運河に浮かぶ小舟など、小樽の景色が広がります

 

4.切子は贅沢品からカジュアルなプチ贅沢へ

おちょこ-切子-かわいい-女性
「切子」というと、1万円越えは当たり前の、セレブでリッチなイメージがありました。
ですが、工芸品とは日本人の暮らしに身近なもので、使って楽めることが理想だと、わたしは考えています。
日本のガラスの技術は、長崎~大坂~江戸から全国に広がっており、切子(きりこ)の技は、江戸で成熟したといっても過言ではありません。kirikoは世界的にも知られる、素晴らしい職人技です。(詳しくは「江戸硝子の魅力」へ)

小樽切子もまた、江戸切子の職人技を受け継いでいます。
このすばらしい技術を「高級で手が届かないもの」でなく、親しみをもって大切にお使いいただきたく、5,000円~6,000円での商品開発に努めました。

5.切子の伝統と新時代の感覚が、お酒を美味しくする

小樽切子は、東京で修業を積んだ女性の切子職人さんと、若手の切子職人さんが、一点一点丁寧にカットしています。
わたしは小樽切子のデザインに取り組むとき、伝統的な手法を守りながらも、モダンな雰囲気にしたいと思いました。

深川硝子-小樽切子

▲従来の切子模様。力強く美しい。
(深川硝子 雅 ぐい呑 -瑠璃琥珀 ¥18,000)

富硝子-小樽切子-モダン-かわいい

小樽の職人×富硝子デザイナーのコラボで生まれた、新感覚切子模様。
(トミクラフト 小樽切子タンブラー ¥5,500)

職人さんと何度もデザイン画とサンプルをやりとりしました。
伝統的な「菊紋」を職人さんのセンスでアレンジしていただき、「星」や「花」と名付け、令和を感じられる切子へ…!

このように、色・粒・パッケージ・コスト・カット模様と、5つのこだわりが今回の小樽切子を完成させました。

 

小樽の工場の、環境にやさしい取り組み


海-環境-やさしい-ガラス▲雪を利用した、水を循環されるシステム

小樽の協力工場では、雪解け水を循環させた作業水を使っています。寒い土地を活かし、知恵が詰まったものづくりの現場です。ガラスは型を冷やしたり、口元を仕上げるときなど、たくさんの水を使います。雪から水をつくり、排水として流す際も、基準値になるよう細心の注意を払っているそうです。
北海道といえば海の幸。 海の近くの工場として、海を守る取り組みをされています。

 

まとめ

小樽-切子-ピンク-かわいい-おしゃれ小樽切子の魅力、伝わりましたでしょうか?
富硝子のブランド・TOMICRAFTは、「今までにないハンドメイドガラス」をいつも目指しています。
小樽切子もまた、従来の切子のイメージから一転し、爽やかな切子になっています。

わたしが小樽出張で見たものは、レトロモダンな小樽の景色だけではありません。

真冬でも半袖でガラスと向き合う、熱いガラス職人たちの姿でした。
外は氷点下でも、事務員さんまでみんな半袖です。厚着をしてきた自分が、なんだか恥ずかしくなるくらい、窯の前は活気に満ち溢れていました。

そんな、北海道の旅を思い出しながら、小樽切子のタンブラーで十勝牛乳を飲みました。

手に取りながらじっくり切子の部分を眺めると、このグラスを切っているときの集中力が伝わってくるようです。

本当に良いと思えるものが、暮らしの中にあると豊かな気持ちになって癒されます。

あなたもぜひ、日本の小樽切子を、暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。

おすすめの小樽切子 

 

富硝子株式会社
東京・亀戸で70年以上ガラス屋をしている富硝子株式会社(Tomi Glass Co.,Ltd.)江戸硝子小樽硝子などのハンドメイドガラスから、プリントにこだわったグラス・トミレーベルなど、おしゃれで豊富なアイデアが楽しいガラス屋です。
Text,Photo,Illustration:Okanami

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