この記事では、当ショップのオリジナルブランド・Tomi CRAFT(トミクラフト)の担当であり、「えどふぇありー」のデザイナーが「伝統を大切にしながら、どのようにして遊び心ある展開になったのか?」そのプロセスをご紹介します!
江戸硝子えどふぇありーとは?

「えどふぇありー」は、まるで妖怪のようなネーミングで、おとぎの国をテーマにメルヘンチックなイラストや「てんぐ」や「かっぱ」などユニークな名前で展開しています。
日本の伝統工芸品である江戸硝子に、西洋の妖精や伝説の生き物を掛け合わせるアイデア。
江戸×妖精の世界観をミックスした、Tomi CRAFT(トミクラフト)らしいワクワクするシリーズです。
ガラスの中には、異なる2色のガラスパウダーと、白いガラスの粒が練り込まれており、白によってグラデーションがさらに映える絶妙な配色にこだわりました。
5つのカラーとキャラクター
「えどふぇありー」は5つのカラーとキャラクターに分かれています

うみ坊
コバルトとスカイブルーが爽やかでみずみずしい!
日本の妖怪から発想して、西洋の海の上を走る妖精から江戸の飛脚を連想したオリジナルキャラ「うみ坊」カラー。

てんぐ
赤と紫が燃えるように美しい。
赤い顔をした日本の伝説の生き物をモチーフに色づけした「てんぐ」カラー。

かっぱ
エメラルドとリーフグリーンがフレッシュで清々しい。
キュウリにお皿。そのキャラクターとストーリーは誰もが知る、日本の水辺の妖怪をモチーフにした「かっぱ」カラー。

ユニコーン
水色とピンクがメルヘンチックでかわいい。
純粋さや高潔さの象徴とされ、その角には治癒の力があるとも言われている、神話の中の伝説の白馬。「ユニコーン」カラー。

火の鳥
オレンジと赤が燃えるように華やか。不死鳥でおなじみの世界各国の伝説の生き物をモチーフに色づけした「火の鳥」カラー。
デザイナーの想い
使うたび見惚れるガラスの色合い

グラデーションが映えるメルヘンチックな色合いは、
2つのガラスパウダーに白の色粒を加えることで、ふんわり可愛いフェアリーカラーに仕上げました。

グラデーションが映えるように、白いガラスの粒がアクセントになっています。この白が効くことで、ガラスパウダーのほんのりした色味が、透けたり色が見えたりと複雑に絡みあい、美しい色ができました。
ストーリー性あふれる色展開

なぜ「てんぐ」や「かっぱ」など、可笑しなネーミングにしたと思いますか?
メロンや桃の方が良かったのでしょうか?
いいえ。わたしたちはあえて、おしゃれなカラーで展開しつつ、日本に由来するネーミングにしています。
それは、日本の東京で職人さんがひとつずつ手作りする「江戸硝子」を、実際に手に持って使い、体験を通して感じてもらいたのです。
そんな想いを込めて、お江戸×フェアリー=「えどふぇありー」と名付けました!
おとぎの国をテーマに、江戸硝子につける配色を決めてゆきました。

Tomi CRAFTオリジナルのデザイン型
フリーカップは、オリジナルで金型をつくりました。下にいくほど細く持ちやすい富硝子のオリジナル形状。
背が低くコンパクトで、飲み物にもデザートにも使いやすく、収納しやすいカップです。

洋書のようなミニリーフレット付き
小人の本のようなミニチュア洋書風デザイン
商品の取扱説明書は、まるで小人の本のような、ミニチュア洋書風デザインにしました。表紙を走る「うみ坊」がかわいい。
制作秘話:江戸にとっての妖精は妖怪なのか…⁉

「妖精」は西洋のファンタジーなので、実際、歴史的に江戸時代に伝わっていたかどうかはわかりません。しかし、日本には絵巻物や浮世絵で伝承されてきた「妖怪」がいます。江戸の妖怪と羽の生えた西洋の妖精をミックスした発想から生まれたのが「えどふぇありー」でした。
うみ坊のウラ話

ブルーの「うみ坊」最初は私たちが頭に思い浮かべる黒くて大きな目の「海坊主」そのままのビジュアルでした。
しかし、日本人が「海坊主」と聞くと、水木しげる先生の妖怪が浮かび、少し怖い印象を受けます。

製作途中で、「ちょっと怖いね」「しかも大きいよね」という話になり、海にまつわる架空の生き物を色々調べました。

魚姫という、病気にかからないという縁起の良さそうな人面魚の妖怪も候補に挙がりましたが、マニアックで怖いため見送りに。

セイレーンや人魚も江戸風に表現してみましたが、女性の人魚だとヨーロッパ感が出て江戸の雰囲気が損なわれ、男性の人魚もいまひとつしっくりきません。どんどん気持ち悪くなってきたところで、妖精の資料に立ち返ると「海の上を走る妖精がいる」とのこと!その姿が江戸時代に郵便を運んでいた飛脚に似ていたことから、「オリジナルでつくっちゃえ!」と、海の小坊主「うみ坊」が誕生しました。

こうして「うみ坊」は誕生しました!
江戸硝子の生産背景

さて、ここからは江戸硝子とはそもそも何なのかをご説明いたしましょう!
江戸硝子とは?
江戸硝子とは、江戸時代からの製法を守る「一般社団法人東部硝子工業会」で認定された窯元で作られた製品をいいます。
たとえ東京産のガラスでも、東京都伝統工芸品の窯元(かまもと)でつくられたガラスでないと「江戸硝子」と名乗ることはできません。
江戸硝子の歴史

江戸硝子の歴史は、1549年にザビエルが来日した頃に始まります。江戸時代のガラスは割れやすかったですが、人口もたくさんいたため職人の技術でガラスがリサイクルされていました。明治時代になると、海外の技術が導入され、ガラスの機械化や切子加工が進み、東京の産業として発展しました。一時期、東京には100社近くのガラス工場がありましたが、関東大震災と第二次世界大戦で大きな被害を受けました。それでも戦後、多くの工場が再建されました。
ところが、令和になった現在、江戸硝子を作ることができる窯元は東京都や千葉県に6社のみとなってしまいました。(個人作家を除く)
さらに詳しく知りたい方は
江戸硝子とは?伝統の最先端を走る"粋"なデザインの 魅力に迫る
をどうぞ。
お客さまの声
ここからは、お客様のレビューやSNSの投稿を見てみましょう!

おすすめの使い方
ガラスの魅力は、入れる飲み物によって多彩な見え方を楽しめるところです。
えどふぇありーも、透明や色ガラスを通して、思いがけない美しい表情を見せてくれます。

うみ坊
ビーチテラスで使いたくなる!空とブルーのガラスが美しい。

てんぐ
クリアで透明な炭酸水と、ガラスのピンク色が鮮やかに映えます。

かっぱ
メロンの果肉と、グリーンのガラス粒が相性GOOD。高さのあるメロンパフェに。

ユニコーン
クリームソーダに金平糖をトッピング。水色とピンクがキュンとする色合いに。

火の鳥
アイスコーヒーに氷を入れて。炎のようなオレンジがブラックのコーヒーとマッチします。
まとめ

江戸硝子(えどがらす)は、今まで伝統的な赤や青の色がよく使われてきました。しかし、2017年から当店のTomi CRAFTは、和モダンでオシャレな配色とデザインで、食卓を楽しく彩ることを提案しています。
わたしたちが大切にしていること
毎日使うことで、日本のものづくりの良さを自然に感じてもらいたいと考えています。そうすることで、日本のガラス工場の場所や職人さん、技術が継承されていきます。そして、コツコツと続けることで、日本の文化の一部となると信じています。
ぜひ、楽しくユーモアのあるコンセプトで、お客様にも自由で柔軟な発想で普段使いしていただきたいと思います。
新しい楽しみ方と伝統が一緒になって、お客様に喜んでいただけると嬉しいです。
この記事を書いた人
東京・亀戸で70年以上ガラス屋をしている富硝子株式会社(Tomi Glass Co.,Ltd.)のデザイナー。富硝子はカラーチェンジグラス・トミレーベルや、江戸硝子や小樽硝子などのハンドメイドガラスなど、おしゃれで豊富なアイデアが楽しいガラス屋です。
