「醤油が固まって、蓋が開けられない…!」ガラスの醤油差しをつかっている方なら、こんな経験がある方もいるのではないでしょうか。
水で洗ってもダメ。お湯に浸しても全くビクともしない。力いっぱい捻っても全然開く気配がない醤油さし…。
この記事では、ガラスの醤油差しを安全で簡単に開けられる方法と、なぜガラスの醤油差しは栓が固まりやすいのか、そして、ガラスの醤油差しならではの良さをご紹介します。
用意するもの
ハサミ、布、醤油差し
醤油差しの蓋の開け方は「テコの原理」で簡単!
では、江戸硝子工場の社長に教えてもらった裏ワザをご紹介しましょう。
布を上からかぶせて、
蓋と本体の間にハサミを差し込み、テコの原理で少しずつ力を加えるだけ。
「え?本当にこれだけで外れるの?」と疑問に思った方もいらっしゃるかと思います。
蓋が取れる方法はトミガラス公式YouTubeとInstagramのリールに動画でも載せていますので、ぜひご覧ください。
では、実際にカッチカチに固まった江戸硝子の醤油差しの蓋を、
江戸硝子窯元の社長に教わった方法で、開けてみましょう!
布をふたつに折って上から重ねて…
本体と布がズレないように、手で押さえます。
蓋と本体の間にハサミを差し込みます。
布があるので、ガラスと刃が接触してお互いに欠ける心配がありませんね!
ハサミを軽く何度も上下させて、テコの原理を使って開けていきます。
ハサミへの力を強くするよりも、本体をしっかり地につけて下へ押さえつけ、固定させるのがコツです。
外れました!
この方法なら、力の弱い女性やお子様、お年寄りでも無理なく開けることができます。
ただし、ハサミを使うので、小さなお子様や刃が鋭利すぎる裁ちばさみなどは危険ですので、ご注意ください。
お湯に入れないで!ガラスが割れてしまうことも…
「お湯につけ置きすれば。醤油が溶けて外れそう…!」と思いますが、
江戸硝子はハンドメイドガラスのため、熱湯に浸けてはいけません。最悪の場合、割れてしまうことがあります。
これは「熱衝撃」といって、ガラスがお湯との温度差に耐えられず、突然パリンッと割れてしまうのです。時差でなにもしていないときに割れることもあり、とても危険です。(醤油が飛び散ったりしたら最悪…!)
40℃くらいのお湯であれば問題ないですが、
つけ置きするよりも布とハサミを使う方が早く簡単に開けることができます。
醤油差しの蓋が固まって外れなくなる理由
開かないジャム瓶のように、無理やり捻って回すと、余計に外れなくなることがあります。
これは、ガラスの醤油差しの蓋(栓)の構造に秘密が…!
蓋の内側を手でさわってみると、ザラザラしています。
ここをマクロレベルで拡大して見ると、ガラス表面に細かい凹凸があるため、触るとザラザラに感じるのです。
この細かい穴に古く固まった醤油が埋まり、塩分で外れなくなるケースもありますが、
「清潔にいつも洗っていた。醤油がついているわけでもないのに動かなくなってしまった」なんて場合がほとんどです。
原因は、蓋を深く押し込みすぎたり、ぎゅっと回して栓を締めることで、擦り合わさった細かいガラスの凹凸がくい合って、外れなくなっているためなのです。
液だれしにくいガラスの醤油差し。実は職人技がつまっています。
ビンと蓋が重なる部分はすりガラスになっていて、ガラス加工の工程で、
ひとつずつ手作業で、職人が絶妙に合わせています。
「擦り合わせ」と呼ばれる、手作業のガラス加工で、1点ずつ合うように擦り合わせてゆきます。
ガラスの実験器具や薬瓶などにも使われている技法で、中の液体が漏れないよう密着させるために、わざとガラス表面を擦っているのです。
こうすることでスーッと出してピタっと止まる、使い心地の気持ちいい、
液だれのストレスが少ない構造になっているのです。
見た目もおしゃれで、機能性も高いので、食卓にひとつあるとうれしいアイテムですね!
お店の方へ。ガラスの醤油差しのディスプレイでNGな行為
ここからは、一般のご家庭ではなく、ガラスの醤油差しを取り扱うお店に向けての注意点を紹介します。
①蓋を入れ替えない
入荷した醤油差しの蓋を外して、他の本体に栓を差し替えるのはNGです。
醤油差しは職人が擦り合わせる工程から本体と蓋の2つで1セットが「対」になって出荷されているためです。
お店で検品のためにすべての蓋を外し、ランダムに栓を差しなおすと、お客様が使うときにフ蓋が外れやすいものと、外れにくいものが生まれてしまいます。
②蓋と本体の間の紙を外さない
醤油差しが入荷すると、蓋と本体の間に、薄い紙がはさまっています。
この紙を取って捨てないようにしましょう。
紙が挟まっていない方がきれいにディスプレイできますが、店頭ではお客様が手に取ってご覧になるため、そのときにグッと栓が押し込まれてしまうと、外れなくなってしまいます。
お店であれば、ハサミと布を使った上記の方法で外すことができますが、
手間暇かかるため、紙は外さずに店頭に置いた方が安心でしょう。
こちらを読んでいるあなたが、お客様としてガラスの醤油差しをお店で買うときは、
この2つのポイントでどのように陳列されているか見てみるのも良いですね。
ストックから購入したり、自分で手に取って確かめると安心です。
また、店頭での陳列されないオンラインショップからの購入もおすすめです。
江戸硝子職人が作るガラス製醤油差し3選
ここからは当ショップから、液だれせず使いやすい、そしておしゃれで人気のガラスの醤油差しをピックアップ。醬油差し選びの参考にしてみてください。
醤油の色もほのか見えるホワイトがベースの「たまや」カラー。
中の液体の減り具合もわかりやすいのはガラスならでは。
春先に使いたくなる「花ごろも」カラー。
ピンクやパープルのガラスの色粒が、桜を思わせます。
深い紺色が醤油のカラーとマッチ。江戸っ子が、さっぱりとした青や紺の着物でファッションとして自己表現したことをイメージして「いき」と名付けられた青色ガラスが美しいです。
まとめ:ガラスの醤油差しの蓋は押し込まないのがベスト
結論!「ガラスの醤油差しの蓋は押し込んではならない。」
そして、もしも外せなくなってしまった時は、シンプルにテコの原理で外すのが良い!という、実践レポをご紹介しました。
江戸硝子の醤油差しは、
「擦りあわせ」と呼ばれる技法で、栓と本体は1点ずつ合わさるよう、職人の技術が詰まっています。外れなくなるのは、ある意味「職人の腕が良い」とも言えますね!
日本人にとって身近な調味料「醤油」。
残りがわかりやすく、清潔で小ぶりなガラス製を食卓で使えば、ほんの少し華やかな印象になるかも…。
ぜひ、自分のお気に入りのものをぜひ見つけてみてください。
外し方をYoutubeで見る
この記事を書いた人
東京・亀戸で70年以上ガラス屋をしている富硝子株式会社(Tomi Glass Co.,Ltd.)のデザイナー。富硝子はカラーチェンジグラス・トミレーベルや、江戸硝子や小樽硝子などのハンドメイドガラスなど、おしゃれで豊富なアイデアが楽しいガラス屋です。